はじめに

勤務先からきちんと残業代が支給されない、それどころか給料が未払いになっている、一方的に解雇された、そういった労働問題に関する相談が後を絶ちません。

残業代を含め賃金を請求することは労働者が雇い主に対して当然に行使できる権利ですし、客観的に合理的な理由のない解雇は認められるものではありません。

近年は、できる限り残業をさせないように様々な施策を講じている会社も見受けられますが、だからといって繁忙期にまでまったく残業をゼロにするということは現実的ではありません。そういった場合に、会社から残業しないように言われているから残業代を請求しにくい状況になっているといった声も聞かれ、本末転倒な状況に陥っているケースも見受けられます。

ここでは、残業代を請求する大まかな手順や、不当に解雇された場合の対応策について簡単にご紹介したいと思います。

残業代請求について

残業代を請求するためには、何よりもまず証拠を集めておく必要があります。残業代は大まかに言えば、「時間給×残業時間×一定の割増率」で算出されるもので、「一定の割増率」はたいていの場合は法定の率(通常の時間外労働の場合25%、深夜の場合35%等)が乗じられることとなりますが、時間給と残業時間は法律で定められているわけではありませんから、こちらで立証する必要が出てきます。とはいえ、時間給は、雇用契約書や月々の給与明細書を見ればある程度明らかになることがほとんどでしょうから、細かい点を除いていえば立証が困難なケースはそれほど多くはありません。

問題は残業時間の立証です。タイムカードがあり、きちんと出退勤時間通りに打刻されているのであれば、それはそのまま証拠として使えば残業時間の立証は容易でしょう。しかし、おそらく故意に残業代を支払わない会社では、そもそもタイムカードが備えられていなかったり、備えていたとしても定時になった時点で従業員にタイムカードを打刻させ、その後はサービス残業を強いるといった悪質な慣例が常態化しているケースあります。そういった場合には、例えば、退勤直前に会社のメールから自分へメールを残しておくと、少なくともその時間までは会社にいた証拠を残せることになります。他にも警備記録等が証拠として使うことができる等、いくつかの方法が考えられます。

それらの証拠を基に残業代を計算して会社に請求することになります。請求方法としては、主に、会社に対して直接書面等を送付して請求する方法、もしくは労働審判や訴訟提起等の裁判手続きによる方法が挙げられます。

 

不当解雇された場合の対応策

実は、一般の方が思っている以上に、会社が労働者を一方的に解雇できるケースは多くありません。労働契約法第16条では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と規定されていますが、実務上、「客観的に合理的な理由」や「社会通念上相当」の要件は厳格に解されており、多くのケースで不当解雇と認定されています。

不当解雇を争う場合は、復職を求めつつ不当解雇後の未払い賃金を請求するというのが一般的です。もっとも、現実に会社に復職するのは人間関係や心理的にも困難な場合もあるでしょうから、会社が一定の金銭を支払うことで和解が成立することが多い印象です。もちろん、現実に復職するケースもあります。

また、不当解雇を争う場合は、現に仕事に就けていない場合もあるでしょうから、場合によっては当面の生活費を確保するため裁判所を通じて賃金を仮に支払うよう会社に請求するといった手続きもあります。

これらの手続きによって、不当解雇を争っていくことになります。

 

弁護士に依頼するメリット

通常、一労働者が会社に対して残業代や解雇無効を請求するのは困難といえます。本当に残業代が発生しているのか計算するのが難しい場合もありますし、証拠といえそうなものがまったくない場合もあります。また、実際に働いている(もしくは働いていた)職場に正面切って物申すことにためらいを感じることもあるでしょう。

その点、労働問題に詳しい弁護士に依頼すれば、証拠資料の収集、残業代請求や解雇無効をどのように主張していくかの方針決定、会社との交渉、労働審判や訴訟等の裁判手続き全般について適切にあなたをサポートしていくことができます。交渉窓口がすべて弁護士になりますから、精神的な負担も和らぐでしょう。

 

なかしま法律事務所では初回相談料無料

なかしま法律事務所では、随時無料相談を受け付けています。

労働問題は、特に証拠収集が重要となります。会社を退職する前のほうが圧倒的に証拠収集は容易ですから、できる限り会社を退職する前に、早期にご相談いただいた方が有利に物事を進められます。

そもそも残業代が発生しているのか、不当解雇といえるのか自分では皆目見当がつかないという場合でも、とりあえず無料ですので、お気軽にご相談ください。